社会問題の記事一覧

島田裕巳氏著の宗教消滅を読みました。

日本だけではなく世界中で宗教離れが加速しているという。いわゆる新興宗教だけではなく、伝統的な宗教も信者離れが加速しお寺や教会が人が集まらなくなっていると言う。

あまり関心がないと気づかないことですが、確かに宗教の僧職者にお話をお聞きすると、どこのお寺も教会も信者の高齢化と活発な信者がが減少していて危機感を持っているようである。あるお寺の住職は檀家が減ってゆき収入が減ることを嘆いておられました。

その住職にとっては僧侶としての務めは、収入を得る手段ということなんでしょうかね?

確かにどんな活動にも資金が必要なわけで、寄付をしてくれる信者が減るなら活動を縮小せざるを得ません。これまでは熱心な信者が多額に寄付を行い活動資金を得ることができていたかもしれませんが、そのような熱心な信者の多くは高齢になっており、活動ができなくなっていたり、年金生活で寄付を以前のように行うことができなくなっていることは十分に理解できることです。

しかも後を継ぐ若い世代が育っていないという問題もあります。若い人たちの信仰心が増しているという統計結果もあるようですが、現代の多くの若者は組織宗教に縛られるのを嫌います。どんどん個人主義も高まっていますので信仰は個人的に持っていればいいというような考えも多く見られますので既成の組織宗教からの離脱が止まらないのでしょうね。

興味深いのは、これは日本だけの傾向ではなく、世界的な傾向だということです。確かに中国やロシアでは以前から宗教に対する規制が強くて、日本では普通に宗教法人として活動できる多くの新宗教が禁止されています。国に忠誠を誓った帰属宗教だけが生き残っていける状態です。

このまま行けば本当に世界中から宗教が消滅する時が来るかもしれませんね。

やはり世界中で多く見られる宗教の危険性や、宗教の指導者のスキャンダルは宗教離れに拍車をかける要因になっていると思います。また、多くの宗教で教えられている教理の多くは矛盾していたり、現代科学から逸脱しているのも要因でしょう。

それでも人には何かを信じる宗教心があるのも事実です。そのような必要は今後どのように満たされてゆくのでしょうね。

宗教, 社会問題

今大学関係者の間で「2018年問題」という言葉が語られ、懸念されているようですね。この「2018年問題」とはこれまで横ばい状態だった大学に入試する18歳の人口が2018年頃から減り始めると考えられていて、各地で大学の倒産が続出するのではないかと考えられています。これまでは地方の限られた私立の大学の問題と考えられていたようですが、今後人口減少に歯止めがかからないと思われることから、国公立の大学の存続も危ぶまれているようです。

確かにこの人口減少の原因には、少子化、結婚しない、結婚しても子供を作らない、晩婚化が進んでいるなどの直接的な原因がありますが、それらに影響を与える間接的な要素としては、自立しない子供たちが増えていることや、子供を育てたいと思わない自己本位な若者たちの増加、また雇用の不安定さ、女性の家庭と仕事の両立の難しさ、男性も家庭を持っても会社に献身することを余儀なくされ、家族と過ごす時間を十分に取れなかったことや、結果的に家庭崩壊などによって子供たちが家族のあり方に関して歪んだ見方が植え込まれてしまったことなど、様々な要因が影響しているかもしれません。

また大学を卒業しても就職で有利になるのは難しい現状や、大学そのものが魅力的な要素を十分に生徒に提供できていないことや、たとえ提供していても現在の若者たちにそれが十分に伝わっていないといったこともあるように思います。これまで各大学も志願者が増えるために校名を魅力的な名前に変更をしたり、学部を新設したり、様々な入試制度を導入したりして受験生集めのために尽力してきたようですが、それほど功を奏してはおらず、何より今後の人口減少によってますます窮地に立たされることになりそうですね。

しかしその時には地方の町自体どのようになっているのでしょうね。地方の国公立大学が入学者がいなくて倒産するような時代には当然町の様々な機関も維持できなくなってゆくでしょう。そう考えるとこの「2018年問題」は単なる大学の問題ではないといえるかもしれませんね。

この問題を解決するにはどうしたらよいのでしょうか?
やはり少子化問題を解決し人口を増やしてゆかなかればならないでしょう。しかしこれは単に女性が家庭と仕事を両立させやすい社会を築く以上のことが関係しているのではないでしょか?もちろん女性が子供を育てながら仕事にも専念できる環境も必要です。しかし、それ以前に子育てに魅力を感じる人を育てていかなければなりません。最近の女性の多くは自分で家事を行えない方も多いようですがそのような女性が今後増えてゆくなら働きやすい環境を作ってもそれを悪用されるだけにはならないでしょうかね? また、夫となる男性も仕事に没頭し過ぎて家族と過ごさないとか、遊び歩いて家族を顧みないとか、そのような方が多いようであれば少子化には歯止めがかからないでしょう。やはり豊かに増え広がるためには社会だけではなく、家庭そのものも一人一人が責任を果たし、盤石でなくてはならないでしょうから。

さらに子育てや家庭での教育によって将来立派な志を持つ人を育ててゆかなくては大学に進学したいという気持ちがそもそも育たないでしょう。何となく流れとして大学に行ったとか、他にやることが見つからないからとりあえず大学に行ったという人が何と多いことか!それでも大学は収入源の確保は出来るわけですが、そのような質の低い生徒を集めていても大学そのものの向上にはつながらないでしょう。結果的にそれは大学自体の魅力の低下につながります。

もちろん大学自体が魅力的なものを提供することは必要ですが、入学する生徒たちも数の面でも質の面でも向上してゆかなくては大学の今後の行末に関する問題のみならず、日本全体の発展に繋がらないでしょう。

果たしてこれから将来どうなるのでしょうか?2018年まではあと4年もありませんよね。大丈夫なのでしょうか?もっとも、過去に日本は人口爆発すると考えられていましたが、実際にはある年を境に人口は減少し、今のような減少傾向が続いています。今後さらに何処まで減少するのかは推測しか出来ません。

ですからこのような懸念に関しては心配し過ぎることも、楽観し過ぎることもないようにし、冷静さを保ちどのような事態になっても対処できるようにしておきたいですね。

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